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千葉県いすみ市で狩猟体験ツアーしてきた!

先日、千葉県いすみ市で行われた狩猟体験ツアーに参加してきました。狩猟と言っても散弾銃とかライフルではなく罠猟です。予想していたよりもかなり濃い2日間だったので、その内容をさらにギュッと濃縮してお伝えしたいと思います。

 

目次
1.狩猟を教えてくれた人
2.いすみ市荒木根・憩いの家
3.座学
4.ハンタートレッキング
5.罠設置体験
6.夕食
7.ナイトサファリ
8.港の朝市で朝食
9.イノシシの解体体験(グロ注意)
10.ヴィーガンランチ
11.キョン革クラフト体験
12.おわりに

 

1.狩猟を教えてくれた人

今回、狩猟を教えてくれたのは石川さんと志賀さんのお二人です。石川さんは元TVディレクターで地域おこし協力隊としていすみ市で害獣駆除をやっている方です。志賀さんは生き物大好きで、石川さんと一緒に活動している方です。

石川さん(写真右のオレンジのベストを着ている人)

志賀さん

今回の狩猟体験ツアーが超楽しかったのはこの二人の豊富な知識とそれを参加者の人に伝えようという情熱があったからと言っても過言ではないと思います。お二人ともありがとうございました。

今回の狩猟体験ツアーはいすみ市役所、農林課、鳥獣・里山対策班の方にもお世話になりました。貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。

 

2.いすみ市荒木根・憩いの家

2日間の活動の拠点となったのは荒木根ダムのほとりにある憩いの家という施設です。めっちゃ大きい和室とその半分くらいのフローリングの部屋で参加者みんなで雑魚寝しました。

参加者は全部で18人。家族での参加は3組、11人と思ってたよりも多かったです。あとはみんなおじさんでした。30代は僕と僕の友人の二人かな?

こどもは6人(だったはず)。こどもたちもみんな今回のツアーを楽しんでいるようでした。

 

 

3.座学

憩いの家に着いたらアイスブレイクと昼食を挟んで座学。房総半島の生物多様性について志賀さんからレクチャーを受けました。

“谷津田”とか、房総は山と平野が霜降り状になっていて、それが獣にとっては住みやすい地形であることや、なぜそういう地形になったか、タヌキ、ハクビシン、アライグマ、アナグマ、の足跡やシルエットの違い、など興味深い話を聞けました。

この座学によって、この後のハンタートレッキングや罠設置などがより面白くなったので、そういう座学は重要ですね。

 

 

4.ハンタートレッキング

座学が終わったらハンタートレッキングに行きました。ハンタートレッキングでは、キョンやイノシシの痕跡や獣道の見分け方、シダ、地衣類、菌類、などを含めた植生について説明を聞きながら山を歩きました。

キョンの糞

このザクロみたいなやつがキョンの糞らしい。歩いてるといたるところに落ちてたのでそれだけ数がいるってことですね。このときは姿を見られませんでしたが、ナイトサファリでたくさん姿を見ることができました。

イノシシの糞

イノシシの糞は明らかにキョンのものと違いますね。

ノキシノブ

ノキシノブは木のいたる所に生えているシダ植物で、光合成でエネルギーを作り出しているので木から栄養を取っているわけではないらしい。

センリョウ

*どうやらこれはセンリョウではなくアオキらしいです(読んだ方からご指摘がありました)。

マンリョウ

センリョウはマンリョウと名前も見た目も似ているが、違う種類らしい。センリョウの方が背が高く、マンリョウの葉の縁(フチ)は少しだけボコッとしてるのが2つの違い。他にもジュウリョウとかヒャクリョウとかあるらしい。

イノシシが体をこすりつけた痕

イノシシは泥浴びをするので木に体を擦り付けるとその泥が残る。痕跡も見つけやすい。

残念ながら、今回は足跡を見つけることができませんでした。少し前に雪が降っていたので足跡が残りにくかったんじゃないかと思います。

ハンタートレッキングはこんな感じのところに行きました。

ハンタートレッキングのコースに入るためにハシゴを登る様子

ハンタートレッキング中の様子

 

 

5.罠設置体験

トレッキング後に罠を設置しました。と言っても、僕らは罠の仕組みやどうやって設置するか、どういうところに設置するかなどを体験しただけです。罠猟は免許がいるので勝手にやってはいけないので。

罠はくくり罠と箱罠(大小)についてレクチャーを受けました。くくり罠はキョンはもちろんシカやイノシシまで獲れるやつ。箱罠(小)はタヌキなどの小さいやつ用。箱罠(大)はイノシシ用。

くくり罠

くくり罠が木に固定

葉っぱで隠してあるくくり罠

箱罠(小)

箱罠(大)

罠を設置してる様子

くくり罠はバネの力を利用する罠ですが、設置するにはかなりの力が必要でした。子供や女性はけっこうきついと思います。葉っぱを上からかけて隠すんですが、その葉っぱは獣道からは取らず、他のところから持ってくるのが良いらしい。イノシシとかキョンに限らず野生の獣は警戒心が強くちょっとした変化や臭いがあると近づかないらしい。

 

 

6.夕食

罠設置が終わったら、憩いの家に戻って夕食タイム。

イノシシ鍋(すき焼き風)

キョンとイノシシのロースト

イナダのなめろう

イノシシはまったく臭みがなく、思ったよりも柔らかかったです。脂身は甘くて少しだけ歯ごたえがあってサクサクって感じの歯ごたえでした。すき焼き風はあまり聞かないけど、めちゃうまでした。鮮度が命のジビエをこのクオリティで食べらることは滅多にないので超貴重な体験をできましたね。

キョンとシカのローストは試食として出してもらったのをいただきました。キョンとシカの肉は見た目も味もそっくりでほとんど見分けがつかない感じでした。

 

7.ナイトサファリ

ナイトサファリは2段階あって、最初は歩いて夜の森に入って動物を探しました。結局何も見つかりませんでしたが、暗闇の中で静かに耳をすませると森と一体になったような感覚がして面白かったです。

これが終わると車で移動しながら獣を見つけに行きました。まさに自然のサファリパークですね。観察するのに夢中になって写真を取るのを忘れていましたが、キョンは10頭ほど発見しました。それぞれ性格が違って、車が近づくとすぐに逃げる個体や、好奇心が強くずっとこちらの様子を伺っている個体などがいたのは興味深かったです。

最後の最後でイノシシも見れたのでめちゃくちゃ良かったです。

初日はこれで終わりです。夜は参加者のみんなで懇親会をやってたのですが、僕は前日ほぼ寝てないためみんなより早めに寝ました。

憩いの場は寝具がないため寝袋で寝たんですが、暖房があるので余裕で寝られました。ここ最近、あまり寝るのに適してない環境で寝る経験が多かったせいか、室内というだけでもありがたいと思うようになってますね。

 

 

8.港の朝市で朝食

翌朝は7時に起きて港の朝市で朝食タイム。これがまた最高でした。まず、港までバスで20~30分かけて移動したんですが、バスの中では志賀さんがいすみ市の海がいかに素晴らしいかレクチャーしてくれてそのおかげでより朝市を楽しむことができました。

いすみ市沿岸の海底は陸地だったところが海に沈んだので元の地形がそのまま残っていることや、その地形のおかげで栄養が豊富で多様な生物が栄養を蓄えていること、それを朝市で食べられること、など志賀さんから聞く話はずっと聞いてたいと思うくらい面白いものでした。他人の私が言うのもなんですが、天職なんじゃないかなと。

朝市では志賀さんオススメのタコ飯やタコしゃぶを食べました。

タコ飯

タコしゃぶ

この朝市は石川さんや志賀さんとは別の地域おこし協力隊の方が盛り上げたイベントらしいです。お二人が言っていましたが、この朝市は以前よりも進化してるらしいです。いすみ市には現在17人(?)の協力隊がいて、これは千葉県の他の地域よりもかなり多いとのこと。いすみ市は比較的自由にやらせてくれるらしいのでそういうのも理由の1つかもしれませんね。

朝市の様子

 

 

9.イノシシの解体体験(グロ注意)

これがツアーのメインイベントと言っても良いでしょう。ここは説明よりもまずは画像を見た方が早いでしょう。

やってみてわかったのは皮を剥ぐのはかなり大変ということ。石川さんいわく一人でやると3時間はかかるらしい。脂肪をうまく身の方に残しながら剥ぐのが難しかったです。もうちょっとベリベリって感じでいけるかと思ってましたがそんなことはなく、皮と身の境目は思ったより感じにくかったです。

今回、解体したイノシシは前日に獲れたメスとのことでした。臭いは全く無く、そのおかげでやりやすかったです。夏場のオスは超臭うらしく、最悪だと言ってました。それはやりたくないですね(笑)。

子供達も解体してました。最初はこどもには刺激が強すぎるかと思いましたが、始まってみれば子供達の方が積極的に皮を剥いでましたね(笑)。イノシシに関しては内臓を取ってあったので、それも子供達には良かったかもしれません。

 

 

10.ヴィーガンランチ

解体体験が終わったら憩いの家に戻ってランチタイム。昨日はイノシシやキョンなど肉メインでしたが、今度は野菜中心のヴィーガンランチでした。

驚いたのは酢豚っぽいやつ(画像右上)。大豆でできてるらしいですが、言われなければお肉。というかわかってても「豚肉じゃないのこれ?」と思うほど肉。普段肉ばっかり食べてる僕でも満足するレベルのランチでした。

このランチを作ってくれたのはいすみ市でヴィーガン料理を提供する「green+」さんです。

 

 

11.キョン革クラフト体験

ツアーラストはキョン革を使ったクラフト体験。刺繍したんですが、手で針を通すのはかなり難しかったです。手順としては、ポンチで穴をあけてそこに糸を通していくらしいのですが、僕は最初の数針は手でやってみました。キョンの革はしなやかでソフトな肌触りなのにめっちゃ堅かったです。

実際に作ったキーケース的なやつ

キョンの革はスマホやメガネ拭きにも使えるらしいので切れ端を持って帰ってきました。

 

 

12.おわりに

今回参加した狩猟体験ツアーはかなり濃い内容でした。休む間も無く次から次へといろんな企画が入っていたのでハードでしたがその分充実した時間を過ごすことができました。

参加者の方も中国出身で日本在住10数年の方、ニュージーランドで小型飛行機の操縦士をやっていた方、八王子でたたら精錬してナイフ作っちゃう方、これから田舎に移住しようとしてる方、などいろんな方がいて、そういう人たちとの交流も貴重な体験になりました。

狩猟は最近盛り上がってきてる分野なのでこれからいろんな場所で同様のツアーやイベントをやる人が増えてくると思いますが、今回のツアーはその1つの成功モデルになりそうな気がします。ただ狩猟をエンタメ化するだけではなく、参加者に自然と人間社会の共生を伝えるのもこういう事業の重要な役割だと身をもって経験できました。

イベントの運営方法や進行方法などもとても勉強になりました。アイスブレイクはやはり重要ですね。あと、イベントの主催者は元気な人じゃないとダメですね。石川さんはパワフルな方だったので、参加者もみなそのパワフルさに寄っていく形で盛り上がったんじゃないかと思います。

これはツアーには関係なく個人的なことですが、参加してた子供たちもみんなこういうイベントに楽しく参加できるタイプの子たちで良かったと思います。憩いの家では僕とずっと遊んでくれたので楽しかったです。

今回学びがあったことを自分用にまとめておきます。

・アイスブレイク重要
・知識に裏付けされた事業展開が重要
・自分の好きなことやるのが一番
・体験があって学びがある
・自分にとっての日常は他人にとって非日常かもしれない(そこにビジネスチャンスがありそう)
・害獣対策に力を入れてない・やり方がわからない自治体は意外と多そう
・実は観光資源になるものがいろんなところに眠ってそう(売り方大事)

 

おまけ

 

空撮(荒木根ダム・憩いの家)